Zero-Alpha/永澤 護のブログ

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綱覇佳秋氏(以下T)との対話 2018年4/30-5/3 『ウェストワールド』を巡って
永澤 護·2018年5月4日金曜日
T:『ウェストワールド』、機会を作ってご覧下さい。ただし例によってネタバレチェックは禁物です。読めていない人が書いたネタバレによる予備知識は作品理解への障害となります。特にこの作品は、ネタバレで全て失うように作られている節があります。たぶん事前にネットサーフィンして見るくせのある人がマーケティング的に思考パターンとしてセグメント把握されており、そのようなセグメントに理解させたくないのでは、などと勘ぐってしまうほど。『アメリカン・ゴッズ』に勝るとも劣らない作品として必見です。視聴方法は以下のサイトで。それではまた。https://warnerbros.co.jp/tv/westworld/
私:了解。ありがとうございます。どういう視聴方法がお薦めですか?
T:大画面TVにステレオセットがつないであれば、一番安あがりなのはAmazonプライムだと思います。『アメリカン・ゴッズ』といい本作といい、強い目的意識を感じます。多額の制作費用も含めて。ジュリアン・ジェインズからの引用もあったりして、分かる人に宛てたあざといまでのメッセージが、何か終わりの始まりを思わせます。
なぜ大画面かというと被写界深度が語るからです。
なぜステレオセットかというと、同じセリフが繰り返されるときにニュアンスが変わっている/変わっていない、があって、それも大事だからです。字幕では受け取れるメッセージが平板になりますし、英語ならではのメッセージがある(誰かがいったことの引用とか)。
ステレオセットがなければヘッドホンでもいいかも。
これで、いっきに『ブレードランナー2049』が過去作になったと思いますし、私が『ゴーストインザシェル』と同時に見た視点がこの『ウエストワールド』にはありました。『ファウンダー』と『ソーシャルネットワーク』を同構造とみた視点も入っていましたし、最終回で『エクス・マキナ』も。
ということは、アメリカは、私が独学で獲得した視点を既に大手が所有していて、視聴者に啓蒙しようとしているということで、正直ビビりました。
私もその先に行かなければ。ケツに火がつきました。ヤバいです。
村上隆が『芸術起業論』で開陳した現代芸術マーケットの方法論(過去作の引用をミソとする手法)を、映像産業に応用して作られたのではないかなと思います。
彼らは本気でアメリカを脱皮させたいんでしょうね。ピルグリムファーザーズから今日までを前史にしたいのだという力強い決意を感じ取りました。たぶん、彼らにとって、オバマ政権とトランプ政権はセットで幕間なのでしょう。そう読み取りました。
これ以上はネタバレになりますので、ここまでで語るのをやめておきます。
あと、蛇足で申しておけば、『アメリカン・ゴッズ』も『ウエストワールド』もシーズン2が予定されています。これらは一転ただの娯楽作になる可能性もあると思います。ハリウッドがよくやる手です。「僕たち何も考えてないですよ、てへペロ」ってやつです。また、シーズン2もこの路線ならそれこそヤバいです。なにせ…。あ、ネタバレしそうになった。失礼します。」
私:これから少しずつ観ます。私の一つの観点として、ニック・ボストロムたちがすでに提起して論じた問題を超えたかまたは効果的かつ生産的にずらし得たかに興味があります。
たちがというのはボストロム以外にベン・ゲーツェル、マックス・テグマーク、エリジェール・ユドカウスキーといった論者がいるからです。
T:シーズン1はそっちの方向は期待しない方がいいかもです。アメリカ人に自己を直視するようAIは奇貨として使われている作品と観ました。私が凄いと思ったのは「アメリカ人に自己を直視」させるということについてです。昨日例示したハリウッドの初作品はその点でどれも寸止めでしたから。
『エクス・マキナ』を例に出したので誤解させてしまったかも。あれは、シーズン2への布石です。ネタバレを避けるあまり誤解させてしまったかもです。
『エクス・マキナ』の例を出したのも、チューリングテストとかそういう方向ではなく、日本とオッペンハイマーと311の三題噺の方向で、なんです。
なので、ニック・ボストロムの方向で期待して観ると肩すかしかもです。AIは単にギミックですから。だからジュリアン・ジェインズがあからさまに作品中で語られるのです。これは、ニック・ボストロムの方向で期待して観ないでねーという制作者のエクスキューズと理解しました。
私は歴史の本として書かれたジュリアン・ジェインズの本を前野氏の受動意識仮説 とセットで読んでいましたから、私の他にもジュリアン・ジェインズを意識実装の方法論として読んでたヤツがいたのかと驚いたのです。
しかもその読み方が全世界に啓蒙されちゃった。これからジュリアン・ジェインズを読む人は実装ガイドとしてしか読めなくなるわけで。やられたーと。
それをアメリカ史にからめてエンターテインメントにしたわけですから、前野を生んだ日本は何やってるんだよと。自戒をこめて。はい。
彼らはマジでアメリカを脱皮させて次のステージに連れて行こうとしているわけですから。
ニック・ボストロムの方向で何か解が用意されるとしたら、それはシーズン2以降になると思います。シーズン2は日本が舞台なので。茶番になる可能性もあるかも。ならなかったらそれはそれで恐ろしい。
日本とオッペンハイマーと311の三題噺の示唆は最終回第10話で提示されます。お楽しみに。
私:人類史の課題はそうした歴史を終わらせることでウェストワールド視聴の観点はそこです。綱覇さんと同じです。
アメリカはこれまでずっと英国のコントロール下にあり続けたわけなので。
明治維新以来の日本と同じです。
ボストロムたちが依然としてウェストワールド視聴にからむだろうというのはボストロムはまさに大英帝国のブレーンかつエージェントだからで昔から私は指摘しています。
だからこそ即座にビル・ゲイツとイーロンマスクが大推薦しています。
その歴史リストラの観点からはやはりアメリカンゴッズはまだまだ弱い。
その理由はまだ「アメリカ」という幻想を横断仕切っていないからです。
つまり逆に「アメリカ」に問題が回収されてしまう。
つまり「アメリカの資本主義」という問題のフレームワークに大英帝国が隠蔽される。
ファウンダーやソーシャルネットワークもほとんど全ての視聴者はその罠に嵌められるんでしょうね。それでブレラン2049に至っていわば認知症的に問題を忘却する。
AIまたはAGIからみの論点は既に出尽くしているのでその点では期待していません。前野受動意識仮説もはるかに深められています。
T:前野さんはSFCでビジネスの方に興味関心が移っちゃいましたしね。
私:それはそれで何ら問題ないですがこの国の「シンギュラリティ」とAGIをごちゃごちゃにしたような論者のレベルは低すぎです。
T:最近日本で第2シンギュラリティーって言い出す人を見かけました。第1は文字の発明。これだとAGIとごちゃごちゃにはならないですよね。
ウエストワールドもその整理です。というか、ウエストワールド以降はその整理になって、AGIとごちゃごちゃにする人はいなくなる??
日本の論者はアメリカンドラマは見てなさそうな人が多いから世間の常識に先を越されるかも。
私:つまりシンギュラリティの解釈を間違ってあり得ないと断定するような類いの論者です。それについてはツイートしています。日本に固有な傾向でしょう。
T:「シンギュラリティの解釈を間違ってあり得ないと断定する」のは、産業界とか経産とかからの要請じゃないのかと思ってますけれども。論者の論考力が弱いせいじゃなくで。
そうしたシンギュラリティ批判は。わかりませんが。
「シンギュラリティの解釈を間違ってあり得ないと断定する」論者たちの主要な発表の場を観察するとどうにもそう思えるんですよね。
まえかけと同じですよ。
日本だけが「シンギュラリティの解釈を間違ってあり得ないと断定する」風潮にあると得する人がいるんじゃないですかね。
私:もちろんかなりいます。
T:大英帝国資本主義暗黒拡大史ではこれお薦めです。https://www.amazon.co.jp/dp/4062586363/
私:了解です。
エピソード1観ました。まだブレラン2049の圏内ですね。
つまり生体様AGIの話ですね。2以降に期待します。
ボストロムはまだまだ先です。
あるいはベンゲーツェル、マックステグマークは。
これからすぐ2を視聴します。
T:1は全ての布石になってますから、場面はよく記憶しておくとよいです。
ジュリアン・ジェインズは読まれましたか?
もし未読でしたら、「二分心」がそれです。台詞に出てきます。その扱い方が注目です。
何話目で出てくるかは忘れました。
ただ比較的最初の方で出てきたと記憶しています。
私:「二分心」の含意はよくわかっているので扱いに注目しています。
バロウズもインタビューで同じアィディアまたは経験を語っています。
どちらが先なのか調べてませんが。
T:最初はあっさりとしか触れられないです。あとの方でもう一度出てきます。最初の3話くらいは布石の集成ですね。
ウィリアム・バロウズ?
私:そうです。
まったく同じアィディア。
神は細部に宿るので今後も細部に注目します。全体的なコンセプトとともに。
バロウズの言葉で二十年以上前にそのアィディアを手に入れていたのでジェインズのことを聞いたときはかなり既視感がありました。
T:バロウズはどんなアイディアだったのですか?
ちなみにジュリアン・ジェインズのアイディアというのはホメロスは実話だったというものです。
私:バロウズはジャンキーでかつおそらく生来の資質により統合失調症でもあると思われるので経験上確信していたと思います。もちろんジェインズは読んでいない段階で。
今バロウズ本は手元がありません。2011年にかなりの本を廃棄しました。
今手に入らないかも。中井久夫の『分裂病と人類』も絶版かもですがほぼ同じアィディア。
ジェインズは了解していますが中井久夫の方が早いかも?
T:裸のランチも映画観ていません。中井久夫の分裂病と人類は何回も読んでいます。
が、中井とジェインズはむつびつきませんでした。
私:分裂病はDSM4以降の「統合失調症」とは異なる概念ですがまた後程。2を視聴します。中井久夫もジェインズは結び付くと思いますがバロウズは間違いなく結び付くでしょう。二分心なのは連絡または統合する「統覚」がまだないからです。
2を視聴終了しましたが以降統覚をどう扱うかに注目します。
カントの超越論的統覚は学部時代からの研究テーマですので。
中井久夫の鍵症状も幻聴です。徴候的感覚。
バロウズは先史時代人類がいまだ人格として統合されていない段階において完全にリアルな神の声を聞いていたと述べています。
T:永澤さんの解説を読むとジュリアン・ジェインズの扱う幻聴は統合失調症の幻聴ではないようですね。解離性障害の幻聴。例えば→http://kairid.com/syoujou4/
私:解離性同一性障害の現代的診断概念からはいったん離れた方がいいでしょう。
解離性同一性障害はいわば軽い障害です。
T:ジュリアン・ジェインズは最近の著作なので、用語の定義が中井やバロウズとはちがうのでしょうね。
私:コア部分はほとんど同じと観ています。
Wikipediaの二分心の記述を見るとバロウズとほとんど同じですね。
T:上記の私の引用と正反対の判断を下している中井指導の論文を見つけました。やはり用語の定義が異なっているようです。http://www.lib.kobe-u.ac.jp/repository/thesis/d2/D2002115.pdf
私:定義は大した問題ではありませんね。本質を見るならば。
T:wikipediaの二分心の記述を読みました。「ジェインズは、古代人の心は、神々の声を出していた部分と、現代で言う意識している心とに分かれていたと考えた」が違うようです。ジェインズの本は東京に置いてきたのですぐには確認できませんが。
私:ジェインズは意識がなかったとは述べていませんね。
統覚がなかったと述べているのです。カントの超越論的統覚。
別れていたと述べているだけです。
T:それも「意識」の定義によります。ジェインズの「意識」は「自覚」。自覚が無いのだから。「ジェインズは、古代人の心は、神々の声を出していた部分と、現代で言う<自覚>している心とに分かれていたと考えた」わけはありません。
私:メタレベル的な統覚がなかった。受動意識仮説につながります。
T:統覚もそうですし、「自覚」がないところがジェインズのポイントかと思います。
私:現在の意識の定義の主流は自覚あるいは自己意識ではなく「主観的経験」またはクオリアです。
T:受動意識仮設は、アーカイブ的な効率化の理論なので、ジェインズとは直接つながらないと読んでいます。
私:シンプルに言えば「経験」です。
T:つながらないのでセットで考えようと。
私:つながりますよ。ウェストワールドの統覚とも多分。自覚や自己意識といった狭い概念ではありません。
T:自覚がないと主観もないので。主観的経験のレイヤ1は自覚なのでは?
狭いというよりレイヤの上下では?
自覚は下層レイヤで自己意識は上層レイヤと思います。
私:また後程。簡単にはここで記述しにくいです。綱覇さんの立場がカントです。
綱覇さんのレイヤー1は超越論的な可能性の条件ですね。カントの。
T:どうやって実装するかをシステム屋の発想で考えている節はあります。
私:レイヤー0が主観的経験または経験のレベル。
T:レイヤ0はないです。実装できない。
私:そこからレイヤー1が自覚する意味レベルが産まれる。
T:それだとレイヤモデルの意味がないです。実装できない。
私:実装の定義による。あるレベルまで実装すると創出されると予想されています。
T:それはレイヤモデルではないです。あくまでOSI的な発想で考えています。
私:意識の統合理論をさらにバージョンアップします。
OSIだけがレイヤモデルではないですからね。もっとはるかに広い概念ですけど。
T:システム屋さんなので、実装可能なレイヤモデルとなるといまだにOSIかなあと。
私:とにかく経験レベルがレイヤモデルのさらに基底レベルと言い換えてもいいでしょう。
T:逆に言うとOSIじゃなかったらレイヤモデルにこだわる必要はまったくないような。
実装の方法論に結びつかないモデルだと、作品に近づかないのでは?
私:経験レベルとは環境と実装システムとの相互作用のメタシステムレベルですよ。
しかし私が作るのではなく (笑) 実装を目指している人たちが作るので。
T:経験なんてものビッグデータとして扱えばいいのでは。
私:違いますが、また後程。
経験レベルこそが最先端の探究課題なのです。
じゃないとシンギュラリティ断定否定論者のレベルになる
たぶんツイートのRTで落合陽一氏も同意してくれましたよ。
T:そういうことではなく。経験レベルを経験レベルとして客体に扱わせるためには何をどう実装するかという話だったと思ってた。
システム屋さんの言う客体とはオブジェクトのことです。なんかいい用語が見つからなくて。システム屋さんの言うオブジェクトには二つあって、一つは目的、もう一つはモノ。後者です。
用語あわせがなんかバベルの塔になってきちゃった。^^;;
私:モノがハードだとすればソフトとハードの両者が経験の主体になります。ハードとはセンサーなど。ソフトはむろんプログラム。
ハードはまたアクチュエータとか。
T:すみません、システム屋さんは最近はソフトとハードという分けはしないのですが、強いて言えばエンベデッドシステム(=ハードが最低限機能するソフト部分)。でもこれだとハードがマテリアルになっちゃうからハードという定義自体が無意味になっちゃう。
ウエストワールドではコアコードって呼んでました。
これはハードでもソフトでもない。OSでもない。パソコンでいうとアッセンブラで書かれてるやつ。
私:それでいいですがコアコードだけでは経験の主体にはなりません多分。
T:どこまでエンベデッドシステムに組み込むかなので。人間は全部がエンベデッドシステムつまりコアコード。ウエストワールドの設定では、役柄変更が可能なので永澤さんの言うように経験の主体はコアコードから外されているという設定かもしれませんね。
ま、エンベデッドシステムという比喩もちょっとここまでくると限界ですね。
私:まだ2までしか観てないのでウェストワールドについてはまだなんとも。
T:あ、ネタバレすみません。
ヤバい(汗)
私:ウェストワールド10まで観るとよりクリアに私の論点を語れるでしょう。
私のというより先端的な開発者たちの。
T:「経験レベル」というのは一般に使われているタームですか?
私:経験という言葉はキーワードになっています。
T:「経験レベル」以降この対話から落ちこぼれてます。たぶん。
意味が取れてない。
私:より詳しく言う人は主観的経験。私が経験レベルと呼んでいます。
T:独自用語は定義を示していただけると助かります。
私:主観的経験は普通の意味です。意味のあるクオリアまたは広い意味での私自身の感覚。意識が絶対に実装または創出不可能とされる場合の根拠にされています。
機械学習には絶対不可能だと。
T:こういうやつですね。だいぶ古い論文ですけれども。http://www2.bpe.es.osaka-u.ac.jp/pdf/nou21_2003.pdf
私:ミルクの味や薔薇の鮮やかな赤、物悲しい黄昏時。私の『カンブリア革命』のメルローポンティ論で扱いました。
T:前野さんはたしかクオリアという概念を否定していますね。上の論文の主観的経験の定義だと確かに前野仮設ならクオリア無しで主観的経験を実装できそうです。
私:それは意識ではないというのが主流の立場ですね。
前野氏の実装はかなり簡単でしょう。その立場なら。それならわりと早期に実現できるでしょう。
T:クオリア無しで主観的経験が可能だったとして(=アウトプットをチューニングしていくことでクオリアに近似できたとして)、それがチューリングテストをクリアしていれば、「意識」と区別つかないから神学論争になりますね。
私:チューリングテストは既に基準とされていないのでは? 既にパスしているので。
T:比喩です。
私:クオリアは定義上主観的経験なのでクオリアなしはいわゆるチャーマーズのいう哲学的ゾンビです。前野氏のも多分ゾンビです。
T:前野氏は、クオリアなんて概念を定義しても実装の役には立たないので、邪魔だという意味での否定です。クオリアが無いという意味の否定ではなくて、いらないという意味での否定です。
クオリアなんぞオッカムの剃刀で切り落としてしまえという。気持ちはわかります。
私:ですからそれは前野氏の立場に過ぎないわけです。先端的なAGI開発者は主観的経験の創出を可能にする実装システムを目指している。
前野氏よりずっと野心的なのです。
T:前野氏個人から離れて一般論で技術者は最短コースを好みますから、クオリアにこだわらずに主観的経験を創出できるならそれが早いし、その結果を描写するのにクオリアを実現出来てるというのなら勝手に言えばいいじゃん、という発想は開発の現場にいたので個人的にはよくわかるというだけの話しです。
私:いや定義として主観的経験はクオリアと言い換えられると述べているだけですよ。クオリアという言葉は削除して構いません。主観的経験です。つまり主観的経験の実装システムによる創出です。私は可能だと思います。
T:なるほど前野氏に引きずられてしまっていたようですね。彼は両者を区別していましたから。
私:どれだけの年月がかかるかわかりませんが。つまり私は2045シンギュラリティ論者はバカかと。カーツワイルは別にして。
T:私は、ユクスキュルに近いかな。AGIの環世界は人間とは違ったものになる。ただし、人間が認識している環世界とは重なる部分もあり、そこは徹底的に人間と近似されるようチューニングされる。こう考えています。普通の考えかと。
私:最初期のつまり最初に開発創出される段階はそうした方向でしょうし現にその方向だと思います。
T:その後はホーキング博士の心配した方向に進むと?
私:そこに普遍化された人間の価値観のブログラミングによるAIコントロール問題が浮上する。ボストロムやモノユドカウスキーなど今既にさんざん考えられています。
カントの定言命法アプローチの妥当性があらためて問われてくる。
T:そっちの方向は民族としての日本人はあんまり興味関心が行かないんじゃないかな。単に感想だけど。
私:開発の最初期のミスが致命的になると考えられています。欧米人は何もかもコントロールしようという発想なので。
中国人はどうかな?
T:いーい質問ですねえー。現代中国人。いやー孔子の頃とはマインドセットが全然違いますもんねー。
私:つまりお互い覇権を譲れないと。お互いというのは大英帝国側も中国も。
T:現代中国人は大英帝国として振る舞うような予感がしてます。深く考えてないのでただの放言ですが。それと、話しをウエストワールドに戻すと、そっちの方向の展開を期待すると肩すかしかもしれませんとさっき書いたことを繰り返しておきます。
でも、そっちの方向は肩すかしでも、これは傑作ですよ。これも先ほどの繰り返しですが。
何しろ、アメリカの親離れ…あ、ネタバレ注意ですね。
私:2だけ観てもかなりの傑作なのはわかります。
T:ネタバレ無しで話すのはいろいろ限界なので、このへんにしておきますねー。たぶん3までが布石です。人名と場所と服装は覚えておかないと(=流して見ちゃうと)あとで損しますよー。
ちなみに、アベンジャーズのラスト(来年公開予定)も日本が舞台です。単なる偶然でないとしたら、日本の未来は(陰謀論的になっちゃうけど)もう決められているのでしょうね。単なる偶然かどうかはウエストワールドシーズン2を全部見てから判断します。シーズン2の終わりとアベンジャーズ最終回は同じ時期の公開です。
ウエストワールドから毒をほとんど抜いて子供向けにしたらアベンジャーズになるのではないか。
私:全エピソード視聴終了しました。コンセプト的には何一つ新しいものがありませんでしたが少なくともシーズン2の取り分け「日本」の扱いと付き合わせなければ何も言えませんね。現段階では明確なコメントは不可能です。
作品としてはベストです。最後のフォードの殺し方は黒沢清の『CURE』の引用です。間接的にブレラン2049への当て付けかも。
T:おーついに見終わりましたか。待ってました。
私が最初に言ったとおり、AIは単に奇貨として使われてるだけのギミックで、AIはドラマの価値に何ら関係ない作品だったでしょう。
これを言うとネタバレになっちゃうので苦しかったです。
言ってみれば、これはアダムスファミリーの続編なんですよ。
私:いえ大ありとも言えるその方向でも忠実な作品でしたよ(笑)
T:僕が高く評価するのは、いろんなハリウッド映画の寸止めを終わらせた。それをオマージュじゃなしにやってのけたのは凄いことだなと。
私の方はウエストワールドの最終回を見て、正法眼蔵はいってるなーと思ったんですよ。自己と記憶と時間の描き方で。
私:もちろん明確にそうですが後程さらに話しましょう。道元に接近していますよ。それは最終回でクリアにわかります。
T:そんでもって安倍首相の台詞は引用するわ、オッペンハイマーは『エクス・マキナ』と同様の扱いでしょ、おまけに次は日本テーマみたいだから。
これが日本リスペクトならいいんだけど、これから日本をこうするゼという青写真だったら悪夢。
今の日本では対抗できないっすよー。
エヴァ最終作くらいか。
私:だからシーズン2は必見ですね。
T:そうなんですよ。もちろんドラマとか映画が対抗できないという意味ではなくて、それらに示唆される青写真という意味で。
アベンジャーズのディズニーはトランプが立候補するはるか以前のオバマ前期にみごとに今のアメリカの青写真をアナ雪で提供してますから。アベンジャーズ4との偶然が気になるのです。
私:まあ私は彼女彼らが少なくとも間接的にチェックしている道元の扱いをチェックします。その方向では私しか可能ではないので。


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